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長崎県美術館

最終日、飛行機までちょっとだけ時間が余ったので、長崎県美術館に行ってみた。

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私が訪れたときは常設展として鴨居玲展が開催されていた。割と好きな作家だったので、それを観ることに。鴨居玲は長崎が本籍なのだそう。常設展は1時間ほどで観るのにちょうどいい規模だった。

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建築は隈研吾さん。屋上からは長崎港が見渡せるとても立派な建物なのだけど、日曜のお昼なのに屋上には誰もいなかった…。展示室も人が少なかったし、大丈夫だろうか。レストラン・カフェも眺めがよく、料理もおいしそうだったのだけど、時間がなくて残念。

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ここのミュージアムショップはおみやげ品も充実していて、パッケージデザインもすてきな特産物がいろいろそろっていた。おみやげにBARAMONの「五島手延うどん」を買い込む。長崎デザインアワード2013の大賞を受賞しているだけあって、パッケージがとてもかわいい。

長崎旅行記はこれでおしまい。

 

長崎 日本二十六聖人記念聖堂(聖フィリッポ西坂教会)

教会の建築を目的に訪れた「日本二十六聖人記念聖堂(聖フィリッポ西坂教会)」。おそらく修学旅行でも訪れたと思うのだけど、大人になって訪れてみるといろいろ考えさせられる場所だった。

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建築は、日本にガウディを紹介したという今井兼次さんのもの。塔や壁の感じは確かにガウディ風。中の階段のコンクリートに穿たれた丸い色ガラスの窓はコルビュジェみたいだった。しかし日曜のミサが行われる前だったらしく、お邪魔してはいけない雰囲気だったので、すぐに退散。

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1597年、豊臣秀吉によるキリシタン禁止令により、宣教師6人と日本人信徒20人がこの丘で処刑されたという。中には12歳や14歳の少年もおり、14歳の少年だった聖トマス・小崎が母親に宛てた手紙は石碑にもなっていた。

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記念館もじっくり鑑賞した。弾圧のむごさに驚いたのはもちろんだけれど、信仰のために命を捧げるという、その行為にあらためて衝撃を受けた。意志薄弱で不信心な自分には絶対にできないし、申し訳ないが理解も賛美もしづらい。でも処刑された人たちは天国に行けると信じていたから、本望だったのだろうか。幸せってなんだろうか。宗教って…。

長崎 軍艦島

今回の長崎の旅でとても楽しみにしていた軍艦島(端島)ツアー。関西にいたときから行きたいと思いながらなかなか訪れる機会がなかったので、念願叶っての訪問。

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軍艦島へのツアーはいくつかあって、時間も料金も似たりよったり。私はお隣の高島にも上陸できる「軍艦島上陸クルーズ」(3600円)にしたけど、別の会社のツアーでは実際に軍艦島の炭鉱で働いていた方がガイドをつとめておられたりするようだし、ほかのでも良かったかも。

天気が悪かったり風が強かったりすると上陸できないらしいと聞いていたので心配だったけれど、当日はとてもいい天気。とはいえ、去年の夏の台風の打撃が大きかったらしく、上陸して歩けるのはごく限られたコース。建物は外から見るだけで、中には一切入ることはできない。ガイドさんの語りは思い入れたっぷりで、やや浪花節っぽかったが面白かった。

 

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一応説明すると、軍艦島は明治時代から昭和にかけて開発された「端島炭鉱」の俗称。良質の石炭がとれたことから急成長を遂げ、1960年(昭和35年)には5000人以上が暮らし、世界一の人口密度を誇ったという。しかし石炭産業の衰退により、炭鉱は1974年に閉山、その後無人島になった。

上は明治34(1901)年ごろの端島(高島の石炭資料館の写真)。6回もの埋め立てを繰り返し、当初の3倍もの面積になったそうだ。

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外から見る限り、もはや人の暮らした気配はほとんど感じられず、廃墟というより遺跡のような趣。

右は島の最も高い位置にある、幹部社員の住宅。ここだけお風呂付きで間取りも少し広かったという。左上は「第二竪工入坑桟橋」。地底600mもの深さにある炭鉱へのエレベーターがあった場所。そのエレベーターはプロレスリングのように囲いしかなかったという! 左下のレンガの建物は総合事務所跡。共同浴場もここにあったそうな。

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大正5年築の30号棟。日本最古の鉄筋造のアパートだそう。

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長崎から運んできた真水を貯めていた貯水槽。島で真水はとても貴重なものだったという。

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ツアーは大盛況で、60〜70代が最も多かった。やっぱり世界遺産になったことですごく人気が出ているのだと思う。これまで長い間打ち捨てられてきた場所が、にわかに晴れがましい脚光を浴びている様子は、なんだか少し不思議な感じもした。

芹沢銈介美術館と、静岡のお店いろいろ

静岡市へ日帰り出張することになり、せっかくなので観光して帰ろうと計画。仲良しのお仕事関連の方が「駅近くに美術館がいくつかあるよ」と教えて下さった。駅すぐの静岡市美は私が行ったときは岩崎ちひろ展で、わざわざここで観ることもないなあとパス。静岡市立芹沢銈介美術館を訪れることに。芹沢銈介の作品もだけど、白井晟一の手がけた本館「石水館」も楽しみだった。

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石を積み上げた門を入り、木々の間をしばらく歩くと、水の音が聞こえてくる。この日はとてもいい天気で、緑がきらきらと輝いていた。噴水は椿の木で全貌は見えない。桂離宮の「目隠しの松」を思い出す。

平日なのでほかに誰もいないのをいいことに、しばらく立ち止まってこの空間を堪能する。写真を撮ろうとしたが、こんな程度にしか撮れないので早々に諦めてしまった。

美術館の設計は芹沢自ら白井に依頼し、すべてを任せたとパンフレットにある。石塀も木も建物も背が低く威圧感がない。唯一、G展示室だけほかより天井が高い積み石の白壁になっていて、祈りの空間のような荘厳さが漂う。

私が訪れたときは「暮らしに生きる文字―芹沢銈介の文字絵と朝鮮民画―」展を開催中だった。文字をデザインしたシリーズが面白く、中でも一番心に残ったのが「天の字のれん」。

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藍色の空に純白の布がひらりと羽ばたいていく、その一瞬を切り取ったような躍動感にどきどきする。手を離れた風船がどこまでも空を飛んで行くのを見送るときの、あこがれや切なさが入り交じった気持ちになる。

「て」という文字を表現しつつも、抽象画のような趣もある。画像は絵はがきをスキャンしたものなのでよくわからないが、のれんなので実物は結構大きい。実際にこののれんが大きな家の軒先にかけられて、風にそよぐさまはどんなに清々しいだろう。

 

売店(ミュージアムショップ)でカレンダーも発見。

http://ec.seribi-shop.jp/?pid=93446494

毎年、曜日の一致する年のものを復刻して販売されているようで、2016年は1960年のもの。色合いと手漉き和紙の風合いが素晴らしく、本当にほしかったのだが、カレンダーは使わないし飾る場所もないので断念。こちらを見てしまうと、縮小プリントしただけの卓上カレンダーの方なんて買う気になれない。

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美術館は登呂遺跡公園の中にある。登呂遺跡の雰囲気になじむよう、石や水、木の自然素材が用いられているのだという。

お昼ご飯は、登呂遺跡公園のすぐ横にある「もちの家」へ。

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安倍川餅が名物のお店なのでお蕎麦は期待してなかったのだけど、意外とおいしかった。お蕎麦のセットにお餅もついてきて、おなかいっぱいに。昭和の田舎にタイムスリップしたような古民家の空間もとても良かった。でもお店の人によると、土日祝は凄まじく混むそうな。

静岡市は初めてだったので、いろいろ調べてパン屋さんにも行ってみた。

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天然酵母パンの「プパンベーカリー」。インテリアもセンスが良くて素敵だった。もちもち食パンや豆ぱん、フロマージュ(チーズケーキ)、期間限定のスイートポテトパウンドを購入。

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静岡駅近くのおしゃれなコーヒースタンド「ハグコーヒー」でおいしいラテも。スペシャルティコーヒーが気軽に味わえる。近くにあったらいいのになあ。常連さんっぽい若い人でにぎわっていた。

思っていたより都会で、まだまだ楽しげなお店があった静岡。芹沢銈介美術館では芹沢銈介の家も観られたというし(知らなかった!)、また訪ねてみたいな。

横浜馬車道さんぽ

仕事のない晴れた週末はせっせとお出かけ。ある日曜は、馬車道のカフェへ。

歴史

馬車道のあたりは横浜の中でも好きな場所。これは神奈川県立歴史博物館。初めて見たときは、「パリの建物みたい!」と感激した。

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開けた視界が気持ちの良い本町五丁目の交差点。旧第一銀行横浜支店のクラシックな建築とランドマークタワーの対比がおもしろい。

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旧第一銀行横浜支店は、1929年に建てられた建築。もとは向かい側にあったものを、平成6年に約1カ月かけて移動したのだという!「曳家工事」という工法だそう。

http://www.ur-net.go.jp/urbandesign/project/saisei3.html

おめあてはこの旧第一銀行横浜支店の中にあるカフェ。以前は「YCCカフェ」だったのだが、この6月末に運営者が変わって、「カフェ オムニバス」になったというので来てみた。

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訪れたときは、高橋士郎さんの「空気膜造形作品」を展示中だった。左側の青緑色のは「サンゴ」、奥は「結び目」。

「サンゴ」は閉じたり開いたり、くるくる回ったりする。知らなかったので突然動いたときはびっくりした!

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「カフェ オムニバス」は世界のサンドイッチが名物だそう。今回は鯖サンドとカレーを注文。

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以前の「YCCカフェ」に比べて、しっかりした食事ができるようになったのはうれしい。お酒も飲めるようになったし。ただ、ひと昔前のアメリカンポップスが大音量でかかっていたのだけど、あれはいつもなんだろうか。あの場に不似合いだと思うのだけど、何とかならんだろうか…

YCCカフェ時代に取材させて頂いたことがあり、下はそのとき自分で撮った写真。

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横浜市認定歴史的建造物に指定された建物なので、外に目立った看板が出せないということだった。そのせいかあまり混んでおらず、音楽もかかっていなくて、非日常感に浸れる良いカフェだった。

お店の雰囲気は、展示物のないときはまたこんな感じになるのかもしれない。市の指定を受けているなら改築はできないだろうし。

 

食後は馬車道十番館でお茶。

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こちらはさすが日曜で混んでいた。お客さんの年齢層が高い。古い建物かと思っていたのだが、昭和42年に開港当時の様式を模して建てられたものだという。お店の前には「牛馬飲水槽」がある。

「レモンスカッシュアメリカ風」は、赤ワインとレモンスカッシュの2層。レモンとライムのスライスが1枚ずつ入っていて、彩りが美しい。味もサングリアみたいでおいしかった。

2階は英国風酒場らしいので、またそちらにも訪れてみたいな。

桂離宮 その2

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これが「笑意軒」。茅葺きの田舎風の茶室。船遊びしながら来られるように、船着き場がある!

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笑意軒では、奥に見える農地の田植えから稲刈りの情景を楽しんだという。

現在も宅地開発などがされないように、奥の農地も宮内庁が買い上げている。(すごい!!)

襖の引き手は船の櫂の形。

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うまく撮れなかったのだけれど、窓下の壁も素敵。ビロードの市松模様を金箔が切り裂く前衛的な意匠。でも建造当時は全部市松模様だったらしい。

右写真は「次の間」の襖。雲海をモチーフにした模様。

 

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満月を象った丸窓は、格子やつるの組み合わせをそれぞれ変えて作り、1年の6季を表しているという。

田園風景を切り取った窓がとにかく美しく、いつまでも眺めていられそうだった。

緑がみずみずしい季節にまた訪れたい。

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御殿の横でお庭の手入れをされていた。昔風の大原女のような出で立ちも良い。

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書院御殿。右側に「月見台」が見切れています…

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「月波楼」。写真が上手に撮れなかったけれど、秋の山と池の眺めを、あたかも船から眺めた情景に見えるよう工夫して作られている。秋草の唐紙も美しい。

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船に見立てた茶室で、船底天井という化粧屋根裏が全体を覆っている。

1本の曲木(中央右)で支えているかのように見せてその軽やかさを表現しているが、曲木はあってもなくても変わらないらしい。

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「御輿寄(おこしよせ)」前庭の畳石は小堀遠州好みの「真の飛石」と呼ばれている。

素晴らしいコンポジション。

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この土塀で参観もそろそろ終わり。あっという間の1時間だった。

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外へ出たところ。表門に続く「穂垣」。監視カメラが…

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川沿いの道路に出ると、桂離宮独特の「桂垣」が続いている。芯になる垣に、竹の葉を生きたままかぶせて折り曲げて編んだもの。

参観後は中村軒で麦代餅(むぎてもち)をいただいて帰りました。

桂離宮 その1

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ずっと眺めていたい、一枚の絵のような光景。

これは桂離宮の茶室「笑意軒」。

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京都に住んでいたころから、ずっと行ってみたかった「桂離宮」。

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参観には事前に許可が必要なので、一時期毎月のようにオンラインで参観申し込みをしていたのだけれど、毎回はずれるので、いつの間にか諦めてしまっていた。

今回調べたネット情報によると、オンラインでの当選は宝くじなみなのだとか。どうりで…

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今回は、思い立ったときにはもう往復はがきの申し込み締め切りの1カ月前を切っていたので、

前日にダメもとで御所の事務所へ申し込みに行ってみた。

そしたら、「明日はどの時間も空いてますよ」とあっさりOKに。

シーズンオフ(2月)の平日というのも良かったみたい。やはり4月、11月は混むらしい。

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池ごしに御殿を望む。

これほどの豪華な施設なのに、参観無料というのにびっくり。

参観は1回1時間で、9:00から15:30まで計6回。一度の人数が意外に多くて、20〜30人くらい。

受け付けをすませたら、広い待ち合いスペースで、現在は使われていない工芸品の展示や解説ビデオを見ながら、時間が来るのを待つ。

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内側から「表門」を見たところ。

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これが表門の外側。桂離宮の正門。特別の場合以外は開けられないのだそう。

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桂離宮は月を観るための山荘なので、こうした小さい灯籠が庭のそこここに配してあるのだという。

確か25カ所くらいあるとか。夜、灯籠に灯りが点いているときは、また趣が異なるんだろうな…

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これは「州浜」。天橋立に見立てて作られた。

参観にはガイドさんが拡声器で解説しながら一緒に回ってくださる。

単独で勝手に見て回ったり、順路を元に戻ったりはできない。これだけ手がかかってたらそれも納得。

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無駄なものが一切なく、どこを切り取っても絵になる空間。

苔も見事だし、1枚の落ち葉もない。

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市松模様の襖が有名な「松琴亭」。色も意匠も本当にモダン。

でも日光にさらされて、少し退色しているのだそうな。

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冬向きの茶室で、寒さをしのぐための「石炉」がある。

杉のへぎ板で編まれたという網代が見事で、じーっと見入る。

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松琴亭からお庭を望む。ここで冬の月を観ていたという。

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この橋!!

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小高い丘の上にある「賞花亭」。峠の茶屋風の茶室。ここからの西山の眺めが見事。

峠の茶屋を宮家が模して作る…スノッブ…

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賞花亭を降りたところにある「園林堂(おんりんどう)」。桂宮家代々のご位牌などが祀ってあったそう。

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飛び石の配置がまたモダン。かわいい…

 

次が「笑意軒」。個人的にはここが一番感動したので、つづく。