Monthly Archives: February 2016

長崎 軍艦島

今回の長崎の旅でとても楽しみにしていた軍艦島(端島)ツアー。関西にいたときから行きたいと思いながらなかなか訪れる機会がなかったので、念願叶っての訪問。

IMG_9896.JPG

軍艦島へのツアーはいくつかあって、時間も料金も似たりよったり。私はお隣の高島にも上陸できる「軍艦島上陸クルーズ」(3600円)にしたけど、別の会社のツアーでは実際に軍艦島の炭鉱で働いていた方がガイドをつとめておられたりするようだし、ほかのでも良かったかも。

天気が悪かったり風が強かったりすると上陸できないらしいと聞いていたので心配だったけれど、当日はとてもいい天気。とはいえ、去年の夏の台風の打撃が大きかったらしく、上陸して歩けるのはごく限られたコース。建物は外から見るだけで、中には一切入ることはできない。ガイドさんの語りは思い入れたっぷりで、やや浪花節っぽかったが面白かった。

 

IMG_1684

一応説明すると、軍艦島は明治時代から昭和にかけて開発された「端島炭鉱」の俗称。良質の石炭がとれたことから急成長を遂げ、1960年(昭和35年)には5000人以上が暮らし、世界一の人口密度を誇ったという。しかし石炭産業の衰退により、炭鉱は1974年に閉山、その後無人島になった。

上は明治34(1901)年ごろの端島(高島の石炭資料館の写真)。6回もの埋め立てを繰り返し、当初の3倍もの面積になったそうだ。

IMG_9923_Fotor_Collage

外から見る限り、もはや人の暮らした気配はほとんど感じられず、廃墟というより遺跡のような趣。

右は島の最も高い位置にある、幹部社員の住宅。ここだけお風呂付きで間取りも少し広かったという。左上は「第二竪工入坑桟橋」。地底600mもの深さにある炭鉱へのエレベーターがあった場所。そのエレベーターはプロレスリングのように囲いしかなかったという! 左下のレンガの建物は総合事務所跡。共同浴場もここにあったそうな。

IMG_9912

大正5年築の30号棟。日本最古の鉄筋造のアパートだそう。

IMG_9901

長崎から運んできた真水を貯めていた貯水槽。島で真水はとても貴重なものだったという。

IMG_9927

ツアーは大盛況で、60〜70代が最も多かった。やっぱり世界遺産になったことですごく人気が出ているのだと思う。これまで長い間打ち捨てられてきた場所が、にわかに晴れがましい脚光を浴びている様子は、なんだか少し不思議な感じもした。

長崎 序

12月に長崎に行ってきた。訪れたのは、中学校の修学旅行以来。

nagasaki

路面電車の走っている街は素敵だなと思う。道が広くて、のんびりとした表情。120円という運賃の安さにもびっくり。こんな古い電車が現役で活躍しているのもいい。

おいしいものもいっぱい!

名物のちゃんぽんも食べてみた。吟味の結果「紅灯記」というお店を選んだが、これが大当たり。スープがとてもおいしかった。時季的なこともあるだろうけど、小さな牡蠣が入っている。「小粒だけどいいお出汁が出るんです」とマダム。名物のネギソバも食べてみたかったな。

IMG_1685

グラバー園にも一人で訪れて、写真を撮りまくる。洋館で結婚式を挙げている方たちも見かけた。

IMG_9970_Fotor_Collage

今回も何冊か長崎ガイド本を買ってのぞんだが、良かったのはこちら。
「ナガサキ インサイトガイド」(企画・制作:ナガサキベイデザインセンター)

グラフィックデザイナーの岡本一宣さんが作られただけあって、ブックデザインも素敵だし、歴史や風俗についてもまとまって載っているので、あらかじめ読んでおくとより観光の際の興味が深まった。

 

ねこさんも何匹か見かけたけど、本当に尾曲がり猫ばかりだった!

IMG_9932

街がきれいで、おいしいものも多くて、とても素敵だった長崎。また訪れたいなあ。

山口浩美さん 氷菓文の器

輪島を訪れたときギャラリーで見かけて、すっかり魅了されてしまった、山口浩美さんのうつわ。

higashi

漆器、特に蒔絵の施された輪島塗というと、やはり特別な器というイメージがあった。豪華でかしこまった、贅沢なもの。でもその山口さんの漆器は、とてもモダンだった。蒔絵がとてもかわいらしくて、詩的な雰囲気が漂う。それまでそんな漆器を見たことがなかった。でも私にとってはぱっと手を出せる価格ではなかったので、ため息をついて眺めながら、そのときは諦めることに。

しかし帰宅してからもずっと、その器が頭から離れなかった。山口さんが東京の百貨店で個展を予定されているという噂を聞いて、めぼしい百貨店のサイトをたびたびチェック。数カ月越しで、漸く再会することができた。

IMG_9926

張り切って初日に出かけたので、嬉しいことに山口さんともお話しすることができた。もうひとつ、とても素敵な盃(高台が付いた小皿)にも惹かれて、大いに迷う。山口さんにも色々とアドバイスして頂き、やはり最初に一目惚れした器に決定。

IMG_9935_Fotor_Collage

つたない写真であまり良さが伝わらないかもしれないが…。この器は「氷菓文」という、琥珀羹やパート・ド・フリュイのような砂糖菓子に着想を得た文様だそう。小さな四角形の蒔絵が宝石のようで、光の当たる角度で色や輝きが変わり見飽きることがない。螺鈿の貝材の違いだけではなく、裏に銀箔を貼ったりして、違いが出るようにしているとおっしゃっていた。

山口さんご自身から、器に込めた想いや使い方を教えていただけたのも良かった。後日、山口さんから素敵なお手紙もいただいて感激。

yamasanもとはデザートカップとして作られたものだそうなので、朝、ヨーグルトを食べるために毎日のように使っている。すぐに洗って拭きあげる余裕のある日に限るけど。

しもばしら

冒頭の写真は文様にちなんで、名古屋の花桔梗というお菓子屋さんの「シャンパン寒氷」という寒天菓子を合わせてみたもの。仙台の冬限定のお菓子「霜ばしら」を盛ってみたり。

器として使うときも、ただ置いてあるだけでも、目にするたびに幸せな気持ちになれる。そんなふうに思えるものってそうはない。ずっとずっと大事に使っていこうと思う。