今回の長崎の旅でとても楽しみにしていた軍艦島(端島)ツアー。関西にいたときから行きたいと思いながらなかなか訪れる機会がなかったので、念願叶っての訪問。
軍艦島へのツアーはいくつかあって、時間も料金も似たりよったり。私はお隣の高島にも上陸できる「軍艦島上陸クルーズ」(3600円)にしたけど、別の会社のツアーでは実際に軍艦島の炭鉱で働いていた方がガイドをつとめておられたりするようだし、ほかのでも良かったかも。
天気が悪かったり風が強かったりすると上陸できないらしいと聞いていたので心配だったけれど、当日はとてもいい天気。とはいえ、去年の夏の台風の打撃が大きかったらしく、上陸して歩けるのはごく限られたコース。建物は外から見るだけで、中には一切入ることはできない。ガイドさんの語りは思い入れたっぷりで、やや浪花節っぽかったが面白かった。
一応説明すると、軍艦島は明治時代から昭和にかけて開発された「端島炭鉱」の俗称。良質の石炭がとれたことから急成長を遂げ、1960年(昭和35年)には5000人以上が暮らし、世界一の人口密度を誇ったという。しかし石炭産業の衰退により、炭鉱は1974年に閉山、その後無人島になった。
上は明治34(1901)年ごろの端島(高島の石炭資料館の写真)。6回もの埋め立てを繰り返し、当初の3倍もの面積になったそうだ。
外から見る限り、もはや人の暮らした気配はほとんど感じられず、廃墟というより遺跡のような趣。
右は島の最も高い位置にある、幹部社員の住宅。ここだけお風呂付きで間取りも少し広かったという。左上は「第二竪工入坑桟橋」。地底600mもの深さにある炭鉱へのエレベーターがあった場所。そのエレベーターはプロレスリングのように囲いしかなかったという! 左下のレンガの建物は総合事務所跡。共同浴場もここにあったそうな。
大正5年築の30号棟。日本最古の鉄筋造のアパートだそう。
長崎から運んできた真水を貯めていた貯水槽。島で真水はとても貴重なものだったという。
ツアーは大盛況で、60〜70代が最も多かった。やっぱり世界遺産になったことですごく人気が出ているのだと思う。これまで長い間打ち捨てられてきた場所が、にわかに晴れがましい脚光を浴びている様子は、なんだか少し不思議な感じもした。